以前にご紹介した慣用句辞典に kick the bucket というイディオムが載っています。日常の暮らしの中ではついぞ聞いたことのない表現だったのですが、最近見た映画の中で使われていました。ロアルド・ダール原作の『Fat Chance(太りすぎに注意)』という短編映画の中で、妻の肥満に悩む夫がこう言う場面です。
She’ll kick the bucket if she doesn’t lose weight.
減量しないと命が危ない。
そう、kick the bucket で「死ぬ、くたばる」という意味になるのです。先の慣用句辞典によると、起源は16世紀の英国にさかのぼるとか。当時、罪人を絞首刑にする時、逆さにしたバケツの上に死刑囚を立たせて首に輪縄を掛け、バケツを蹴り倒して刑を執行したそうです。それで kick the bucket (バケツを蹴る)、転じて「死ぬ」となったわけですね。
ところでタイトルのfat chanceですが、これには「無いに等しい見込み」という意味があります。日本語でよく使う「ありえなーい!」という表現、英語ではFat chance! と言います。
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