月曜日のレッスンで all ears という表現をご紹介しました。出典の映画『ノエル』にはall yoursという表現も出てきます。文章にすると、He is all yours です。平たく訳せば「彼は全部あなたのもの」。さて、どんな文脈で使うのでしょう。
悪者Aは悪者Bと手を組んで、被害者C氏を監禁します。悪者AはC氏からある情報を聞き出したい。一方、悪者BはC氏に恨みを持っていて、ボコにしないと気が済まない。悪者Aがまず情報を聞き出し、C氏を悪者Bに引き渡します。「オレの要件は済んだ。煮るなり焼くなり好きにしろ」 この「煮るなり云々」に相当するのがHe is all yoursです。物騒な例ですみません。でも映画なんかでは出てくるシーンです。
もうちょっと穏便な事例を挙げましょう。とある雑誌の編集部。編集AがアルバイトのC君に「ちょっとコレ手伝って」と仕事を頼みます。が、編集Bから横やりが入る。「おいおい、今C君はオレの仕事をやってるんだ。1時間待て」 そして1時間後、一服する間もなくC君は編集Aに引き渡されます。「おい、終わったから連れて行っていいぞ」 この「連れて行っていいぞ」に当たるのがHe is all yoursですね。何とも人使いの荒い職場です。
さて、主語は人でなくてもかまいません。表題の文についてお話しましょう。
例えば、友人のA子が半年ほど海外に行くことになりました。その間あなたはA子のアパートメントを借りることにしました。入居の日、A子が部屋を案内してくれます。「バスルームはここ、予備のタオルはここ、生ゴミは○曜日で不燃ゴミは○曜日」などなど。一通りの案内を終えると、A子はキーを渡しながらこう言います。
Well, it’s all yours.
「(ま、後は好きに使って)」
あるいは、あなたは進行中のあるプロジェクトを同僚から引き継ぐことになりました。引き継ぎを終えた同僚がIt’s all yoursと言えば、「後は任せたぞ」みたいな感じになります。
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