He’s not going to like it. — 叱られる?

月曜日のレッスンでご紹介した通り、『レミーのおいしいレストラン』の主人公レミーは、厨房と料理が大好きというネズミらしからぬネズミです。しかも、あろうことか後ろ肢だけで立って二足歩行もする そんなレミーに、兄ネズミのエミールはこう言います。「父さんに叱られるぞ」

さて、この「父さんに叱られる」というセリフ、英語ではこうなっています

 “He’s not going to like it.”

これのどこに「叱る」という単語があるのか。直接的にはありませんね。「彼(ネズミ父)は(料理やテレビが好きで、二足歩行する次男の行いを)気に入らないだろう」というのが直訳で、だからバレたらきっと「叱られる」となるわけです 似たような表現として、こんなのもよく使われます。やんちゃをした子どもをママがたしなめている場面を想像してください。

 Daddy won’t be happy about it.

直訳は「パパはそれについて嬉しく思わない」ですが、これで「パパが知ったら怒るわよ」といった意味になります ただし、いつも言っていることですが、文脈が変われば訳文も変わってきます。パパの気に入らないことをしているのが年頃の娘なら、訳文は「パパはきっと反対するわ」になるかもしれません。ソレは結婚のことかもしれないし、進路や就職のことかもしれない。いずれにしても、「反対」という言葉は直接的には出てきませんね。

何か日本語の文章を示されて、これを英語に訳しなさいと言われると、どうしても直接的な訳語を探してしまいます。それはそれで悪くないし、辞書を引くのは基本中の基本ではあります。でも会話中とか、辞書を引けない状況なら、文意と文脈、つまり「ここでは何を言いたいのか」を考え、もっと簡単な日本語にかみ砕いて英訳すればよいのです。「叱る」とか「反対する」という単語をそのまま使わなくても、たいていは中学や高校で習った単語で十分に対応できるでしょう。とはいえ、言うは易し。慣れは確かに必要でしょう。映画の字幕などは良い教材です。全編気合いを入れて観る必要はありませんので、10分間だけ音声を英語にして、字幕に注意してみるなど、ちょっと工夫してみてください。


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