バナナの存在しないところにバナナという言葉は存在しません。義理チョコの存在しない欧米などで、義理チョコは何と言うのでしょう 悩ましいですね あちらのメディアなどをのぞくと、「giri choco (obligation chocolate)」 などの表記が多いようです。
もちろんこれだけではよく分からないので、たいていは義理チョコの何たるかを補足説明しています。obligation は「義務」という意味です。辞書を引くと確かに「義理」という定義もあるのですが、私個人としては「義理」と「義務」はどうにもぴったり重ならない。う~んと昔に読んだルース・ベネディクトの 『菊と刀(The Chrysanthemum and The Sword)』に言及があったように覚えています。興味のある方はおもしろい本なので読んでみてください。
月曜日のレッスンでは、この義理チョコを courtesy chocolate と表現しました。courtesy は「儀礼上の」という意味です 例えば「表敬訪問」は courtesy call と言います。courtesyは「厚意」という意味でもよく使われます。英語の雑誌などを見ていると、写真や挿絵に Photo courtesy XYZ Magazine とか Courtesy of XYZ Magazine などの表記を目にします。これは掲載されている写真もしくは挿絵が「XYZ誌の厚意により提供された」ことを表しています
もうひとつ、consolation chocolate といった表現もアリかもしれません consolation は「慰め」という意味で、consolation prizeと言えば「残念賞」のことです。何となく惨め感が漂います あくまでも私個人の使い分けなのですが「ボスにもちゃんと義理チョコをあげた」という時には courtesy chocolateを、「義理チョコだけどもらった」という時には consolation chocolateにしたらどうかなと思います。
余談ですが、映画などでこんなセリフを聞いたことはありませんか
I’m not your consolation prize!
実際、私の大好きな映画『恋人たちの予感(When Harry Met Sally)』にも出てきます。ここでは新年をいっしょに過ごす人のいないハリーがやっぱり恋人のいないサリーに「どっちも独りなんだからいっしょに過ごさないか」と持ちかけます。(ブチっ )サリーはキレます。キレた彼女のセリフがこれです。直訳すれば「私はあなたの残念賞じゃないわ」ですが、「いっしょに過ごす人がいないから、なんて理由で誘われたってちっとも嬉しくないわっ 」という気持ちを表しています どこか義理チョコに通じるニュアンスを感じませんか
このコンテンツについてコメントする(質問もこちらへ)