Frozenというディズニー映画が大ヒット しています 『アナと雪の女王』という邦題が付いています。frozen はフローズンダイキリとかフローズンヨーグルトのフローズン です。frozen は「凍った 状態」を表す形容詞であって、どう訳しても「アナと雪の女王」にはならないし、「frozenは〈アナと雪の女王〉という意味だ 」と誤解する人もまずいない
一方。この作品の主題歌 Let It Go もこれまた大ヒット のようですが、これには「ありのままで」という副題が付いています。で、こちらのほうは「Let It Goは〈ありのままで〉という意味だ 」と思ってしまう人がいなくもないらしい
結論から言うと、let it go を「ありのままで」とするのはいわゆる意訳です 意訳とは、原文の一語一語にとらわれず、全体の意味や含意を汲み取って翻訳することを言います let it go をふつうに訳したとき、「ありのままで」という訳語はまず出てこない もちろん、訳した人だってそんなことは百も承知でしょう
では。let it go とはそもそもどういう意味なのでしょう
会話の中で使われる let it go は概ね、to forget about it とか to stop talking about it のような意味で使われます。「さっさと忘れろ」、「もうその話はやめなよ」みたいな感じです。
例えば、相手が何か大きな悩み とか、あるいは悲しみ 、怒り を抱えているのだが、本人にも周りにも、それはどうにかできる問題ではなく、どうにもできないなら「あきらめる」なり「忘れる」なりするほかない そういうときに親身になりながら(あるいは呆れ、うんざりしつつも)かける言葉がこれ、let it go なのです
Just let it go.
「いつまでもくよくよしてちゃだめだよ。」
「そろそろふっきろうね。」
「とっとと忘れろ。」
Let it go and get on with your life.
「これまでのことは忘れて、これからの人生をしっかり生きてほしい。」
さらに、to stop pursuing a line of conversation or questioning の意味で使われることもあります。「この話題はここでやめにしよう」とか「これ以上の追及はやめよう」ということです
あとひとつ、英英辞典には not act と定義されているのですが、これはしばしば日本語の辞書に見る「放っておく」にあたるものだと思います not act、行動しない、何もしない、という意味です。
He thought of a reply but let it go.
「(彼は)返事を出そうかなと思ったが、(結局)そのまま(しないまま)になった。」
これは「返事を出そうかと思ったが、思い直してやめた」というのとはちょっと違う 思い立ったんだけど、その後はnot act、つまり何にもしなかった。「放っておいた」んです。結果として、返事は出さないままになりましたとさ。こういうことです
どのケースにしても、let it go には執着しない、しがみつかない、追いかけないといった含意があるように思います。最後に、let it go というと必ず思い出す格言をご紹介しましょう
If you love something, let it go. If it comes back to you, it’s yours.
If it doesn’t, it never was.
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