月曜日のレッスンでは最近の翻訳のお仕事中に出てきた表現をご紹介しました。本日紹介する “throw the baby out with the bathwater” は最近の通訳のお仕事中に出てきた表現です。
「風呂の湯といっしょに赤ん坊を捨てる」だなんて、ちょっと穏やかじゃない表現なのですが、けっこうよく使われることわざです。商談などでも出現頻度は高い方だと思う。意味はまあ言葉通りなのですが、せっかくですから The Free Dictionary の説明をチェックしておきましょう。
to get rid of the good parts as well as the bad parts of something when you are trying to improve it
何かを改良しようとして、悪いところといっしょに良いところまで捨ててしまうこと。
実際の会話ではどう使うかというと、あくまでも一例ではありますが。
It’s a little like throwing the baby out with the bathwater. And we don’t want to do that.
「それはまあ言ってみれば、赤ちゃんに湯を使わせて、その湯といっしょに赤ちゃんまで捨ててしまうようなもので、我々としてもそういうことはしたくない。」
ところでこれはちょっと前の話になるのですが、やっぱり通訳をしているときに、日本人の出席者の方が「角を矯めて牛を殺す」ということわざをお使いになりました。で、すかさず、「あ、通訳さん、今の分かる?角を矯めて牛を殺す」
「安心してください、分かりますよ!」とはいくら明るい通訳の私でもさすがに言わない( ´艸`)「あ、大丈夫です」と一言断って通訳を続けました。で、この「角を矯めて牛を殺す」に相当する英語のことわざとしてよく使われるのが、「風呂の湯といっしょに赤ちゃんを捨てる」なのです。個人的にはこの二つは必ずしも100%完全にインターチェンジャブルつまり互換ではないかなとも思うのですが、大抵のケースでは取り替えっこして使えます。例えば、前記の例文で言えば、「赤ちゃんに湯を使わせて」の部分をそっくり「角を矯めて」に置き換えて、「それはまあ言って見れば、角を矯めて牛を殺すようなもので」という日本語にしても多くの場合は通用するということですね。
通訳中にことわざが出てくると、日英セットで知っているときはホッとするし、知らないときはギクッとします。何年やっていても変わりません。やれやれ(^^ゞ
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