表題の日本語は「でも大丈夫だったでしょ」なのですが、もちろん、But I didn’t! がダイレクトに「でも大丈夫」を意味するわけではありません。では何がどうなって、こんな日本語が出てきたんでしょ。
このセリフは「アナと雪の女王」で、クリストフとアナが氷のお城を目指す途次、オオカミの群れに襲われるシーンに出てきます。オオカミたちを追い払おうとして、アナは火の付いた毛布を投げつけるんですが、これがクリストフに当たりそうになる。当然、クリストフとしては文句のひとつも言いたくなります。
Kristoff: You almost set me on fire!
Anna: But I didn’t (set you on fire)!
アナのセリフは( )内の部分が省略された形です。クリストフが「君は僕をあやうく火だるまにするところだったんだぞ!」と言うと、アナが「でも(あなたを火だるまなんかに)しなかったでしょ」と言い返します。これを字幕では「でも大丈夫だったでしょ?」としたわけです。自然な日本語ですね。グッジョブです。
このフレーズのミソは、先に来るセンテンスとペアで理解することです。切り離してはいけません。いくつか例文を挙げましょう。
John: You were almost late!
Mary: But I wasn’t (late)!
「もうちょっとで遅刻だぞ!」というジョンに、メアリは「でも大丈夫だったでしょ(遅れなかったでしょ)」と言い返します。この例ではbe動詞を使っていますが、コンセプトは一般動詞と変わりません。
John: We almost missed our flight!
Mary: But we didn’t (miss our flight)!
「もう少しで飛行機に乗り遅れるところだったじゃないか」と憤慨するジョンに、メアリはしれっと答えます。「でも大丈夫だったでしょ(乗り遅れなかったでしょ)」
映画でも日常会話でもよく出てくるやりとりです。平たく言えば、開き直りの表現ですね。遅刻しそうになったらまずは謝りましょう。
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